Vol.313 転院、リハビリ漬けの毎日、そして退院
4月30日に山形県立中央病院を退院し、S看護部長さんはじめ数人の職員の出迎えを受け恐縮しつつ新庄徳洲会病院に戻り、新たな入院生活が始まりました。この時点での症状は、左上下肢の温痛覚障害(熱さと冷たさがわからない)と異常感覚(常に弱い電流を流されているようなビリビリ感)、体幹失調(胴体のバランスが悪く真っ直ぐに歩きづらい)、嚥下障害(物を飲み込むための筋肉の動きが悪くむせやすい)が主なものです。同夜、愚かにも障害がある左手に湯をかけて、シャワーの温度を調節し、一向に熱くならないのでどんどん温度を上げたところ、突然左の親指から中指に電撃痛が走り、肩を経て左足に向かって広がっていきました。熱湯に近い湯をかけていたことが原因であることに気づき、すぐに止めましたが、どうなるのかと緊張感が走りました。幸い1分程度で収まりましたが、この後も電子レンジから熱くなった皿を取り出すときや氷を持ったときも似た症状がおこりました。どんなものも生ぬるく感じるので、逃避行動がとれず、異常な刺激を受け続けるとこのようなことが起こるようです。
理学療法は下肢のレーニングが中心、作業療法は主に上肢を使った細かい作業、言語聴覚療法は嚥下の評価と練習でした。理学療法では病前からの姿勢の悪さを何度も指摘され、その矯正法を学びました。作業療法では短気な私には辛い細かい作業が要求され心を鎮めて根気よく臨みました。意外にハードだったのは、嚥下機能の回復のための5分間の喉の筋トレで、1日数回自主トレも命じられました。左上下肢の異常感覚はこちらに戻ってきて強くなった印象、おそらくこのリハビリが一番難しいような気がします。以前あった頻尿になり、尿路感染の再燃ということで抗菌薬を内服することになりましたが、カプセルを飲み込むのにはかなり苦労しました。
連日の厳しくも優しいリハビリで、徐々に身体機能は改善し、作業療法では調理や車の運転、大浴場で一人で入浴することにも挑戦し、最後に認知症のテストを受けました。予想以上に難しく緊張しましたが、何とか合格でき、無事作業療法は終了しました。理学療法では、久しぶりに屋外を杖もつかずに歩くことができ一安心。指導されたことを理解して実践するのですが、それを評価して次につなげることが、リハビリの最大の役割ではないかと感じました。それは理学療法士の指導であることもあれば、鏡に写った自分の姿を見ることでもあります。入力されたことを出力し、さらに評価することの重要性を痛感しました。嚥下に関しては、ゼリーなどのネットリしたものは問題なく摂れますが、問題は水です。初めは3cc程度を注射器で流し込み、徐々に量が増え7ccまでは姿勢を正すと飲めるようになりましたが、むせやすさは残り、ごくごく飲むというのは全く不可能です。固形物が可能になり、全粥は食べられるようになり、普通のおかずを噛んで食べることができると、全てのものを美味しいと感じました。「ありがたや、ありがたや」です。そんなこんなで5月10日には無事退院となり、さあ次は社会復帰です。
延髄は大脳と小脳と脊髄をつなぐ脳幹と呼ばれる部分の一つで、呼吸や心臓の中枢もあり、延髄梗塞を起こすと、急死することもありますが、幸い私の場合は梗塞が起こった場所と範囲が狭かったため生命の危機には至りませんでした。リハビリもかなり順調に進んだようで、外見上は病前とあまり変わらないと言われることが多く、先に述べたように自分にしかわからない症状なので、それも仕方ないことですが、以前より声もかすれて、すぐに咳払いをしたくなり、歩いていてもフワフワする感じが続き、まだまだの印象です。ただ、治療は今後もリハビリを継続するしかありません。この機会に身体に対する私の考え方も変えたほうがよさそうなところもあります。まだまだ自分との戦いは続きます。