新庄徳洲会病院

menu

<

掲載日付:2022.01.05

Vol.234 前期高齢者目前、肉体改造に挑戦

 昨年の5月下旬に体重計が79.5キロを表示しました。医者になったときには72くらいでしたが、食の不摂生と運動不足から最高88に、逆に40歳を過ぎた頃にはひどい抑うつ状態で68まで痩せたこともありました。ここ数年は73前後でしたが、久しぶりに80の大台が見えました。肥満患者の体位変換などで医療従事者が苦労しているのを見ているので、あと1年余りで前期高齢者に仲間入りして、患者になる可能性も高くなるので、減量しようと一念発起しました。

 私の場合、体重増加の原因は食べすぎ、それも医局に常備されている菓子類であることは明白でした。心優しき医局秘書さんが毎日せっせと用意してくれるのを、食べてしまう卑しさが災いしているのです。それを断ってしまえば70台前半にはなるだろうと思いましたが、それだけでは面白くないので、脂肪を減らすだけではなく、今回は運動をして筋肉を増やしてみようと考えました。10年以上前からNHKのテレビ体操はほぼ毎朝欠かさず続け、病院内ではほとんどエレベーターは使わずに階段を使っていますが、1年以上前から昇るときに膝に強い痛みを感じることが多くなってきました。数年前まではできた「一段抜かし」など夢物語です。これからの下り坂の人生を、身体を持て余すことなく生きていけるように肉体改造を6月1日から開始しました。

 まずは食生活の改善です。私は早朝に出勤して病院で朝食をしっかりと摂っていましたが、いい歳になったので、甘酒入りヨーグルトだけにして、それ以外の朝食(納豆・卵・チーズなど)と野菜スープと少なめの炭水化物を昼に食べることにしました。昔から朝食を重視していたので抵抗はありましたが、日本人の大部分が1日3食の生活ができるようになったのは明治時代で、成長期の若者には朝食が重要でしょうが、飽食の時代の高齢者に3回の食事は不要と考えました。食べない時間を決めたことで間食は1/10以下になり、昼には空腹を感じる様になりました。夜は制限無しで、時にはジャンクフードも可とし、特定の食品に執着したり極端な糖質制限はしませんでした。体重は徐々に減り幅が増え、4ヶ月で9キロ減少し、その後も変わりません。

 次は運動です。運動の基本は歩くことだと今でも思っていますが、愛犬が死んでからは天気の良い休日くらいしか散歩はしなくなりました。定期的にジムやプールに通うのは不純な動機でもない限り私には無理です。運動機器を購入しても長続きしませんでした。そこで天気や昼夜の別なく、自宅や医局の狭い場所で、道具を使わずにできる筋トレをすることにしました。毎朝のテレビ体操は続けながら、朝は医局で夜は自宅で、踵落としとスクワットから始めてみました。その後は立位でする腹筋と背筋の運動を加え、主に体幹と下半身の筋肉の増加を目指しました。運動の合間にはストレッチも加え、1日40分程度の筋トレを試行錯誤しながら続けています。

 体重が減ると動くのが楽になりましたが、予想外だったのは筋トレの効果です。一番の変化は膝の痛みがなくなったことです。階段で痛みのために立ち止まることは全くなりました。その他、肩こりは3割減、腰痛も2割減です。体を支える力が増したせいか、しっかり歩けるようになり、歩幅も伸びたようです。お腹は引っ込み窮屈だったズボンにも余裕ができ、数年ぶりにジーパンを買いました。その代わり皮膚がたるみ、顔もシワが目立つようになり老人らしくなりましたが、それも悪くありません。自然に抗うよりも受け入れようと思います。我々の最も身近にある自然は己の肉体です。自然を感じるために大自然に身を置くのもよいでしょうが、己の肉体がどう感じているかを感じられるようになりたいと思っています。学生時代には苦痛でしかなかった筋トレですが、スクワットをすると太ももが喜んでいるように感じるようになりました。


menu close

スマートフォン用メニュー