新庄徳洲会病院

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掲載日付:2021.11.27

Vol.232 ワクチンのマイナス面にも目を向けて議論を

 プロ野球・中日ドラゴンズのK選手が、7月6日の練習中に心停止し救急搬送され、8月3日に27歳で亡くなりました。6月28日にモデルナ社製ワクチンの1回目接種を受けていたので、副反応の可能性が取り沙汰されていました。11月21日に厚生労働省で開かれたワクチン分科会・副反応検討部会では、死因は解剖により心筋炎とされたものの、ワクチンとの因果関係は評価できないとなりました。「解剖で心筋炎の所見は見られるが、ワクチンとは関係のないウイルス感染による可能性もあり、そもそも心筋炎が心停止にどの程度影響したかも判断できない。死亡前のエコー検査や解剖所見からは、重度の僧帽弁逆流という弁膜症の一種が以前からあったことが疑われ、それが死亡に関与した可能性が高い。」という結論です。重症の弁膜症患者が、現役のプロ野球選手であることは絶対に不可能です。これと似た報告例は少なくとも3例あります。

 厚労省は約2週間の間隔で専門部会を開き、接種と副反応との関連性を議論しています。11月5日までにワクチン接種後の死亡疑いと報告された1359人のうち評価中を除いた1325人を、因果関係が否定できないものをα、因果関係が認められないものをβ、情報不足等により因果関係が評価できないものをγと分類していますが、αは0、βは8で、残りの1317人がγです。99%以上の人が、たまたまワクチン接種後に死亡したということです。接種翌日に死亡している221人が最多で、40%以上の575人が接種3日後までに集中し、その後は急速に減少し1週間以降は平坦になります。疑い例は、接種と死亡が近いのは当然かも知れませんが、グラフを見るとあまりにきれいなカーブを示しており、ワクチンが関係した死亡例がないとは到底思えません。

 10代の死亡はワクチン後が4人でコロナ死が3人であることは前回述べましたが、20代では19:26、30代では26:85、40代でも48:288です。次々に元気な若者が死ぬ病気であれば、かなりのリスクまで受け入れるべきですが、被害の少ない我が国が、病気の予防のための死亡をどの程度まで受け入れるべきなのでしょうか。難しい問題ですが、ワクチンによる死亡があるという事実を認めないで、リスクを上回る利益があるかどうかの議論はできないはずです。

 現在我々が参加しているのは、製薬会社が健康な成人や患者に使用して、効果や安全性や治療法などを確認する目的で行われる臨床試験(治験)ではなく、被害が大きいために緊急避難的に認められた世界規模の人体実験です。mRNAワクチンの治験が終わるのは、最も早いファイザー社製で2023年5月2日です。それまでは副反応の被害に対して製薬会社には様々な免責事項が契約書に記載されているはずです。さすがに国が賠償金を支払いたくないので死亡との関連性を認めないとは思いませんが、地球温暖化と温室効果ガスの関係と同様に、科学が政治や経済の圧力に強い影響を受けていることは明白です。私は5月に2回目接種を受け、年明けには3回目の対象になります。医療従事者の端くれとして、人体実験に参加しましたが、今ではかなり嫌気が差しています。今回の技術は、ワクチンに限らず科学の方向性を変えるほど革命的なものかも知れませんが、ワクチンの効果がリスクを上回るかは未知数です。第5波の感染力はそれまでに比べて非常に強くなりましたが、重症化率や死亡率は明らかに低下しました。専門家はワクチンの成果を強調していますが、それだけでは説明できるとは到底思えません。感染力の増強と重症化の減少は、感染症の自然な流れとしても説明可能ですがそれは話題にさえなりません。私の妻は自分の判断で接種していませんが、私が医療従事者だからという理由で受けてほしいとも思いません。各自が考えればよいのですが、そのためには正確な情報が必要です。その上で、反対する者を論破するのではなく、謙虚に事実を見つめ、冷静に議論すべきではないでしょうか。


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