新庄徳洲会病院

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掲載日付:2026.02.20

Vol.308 社会保障費と社会保険料

 自民党の圧勝に終わった衆議院選挙で、大躍進を遂げた野党政党がありますが、その主要な公約は、「現役世代の社会保険料負担を軽減する」というものでした。具体的には、高齢者が優遇されている医療費の窓口負担を一律に3割にするなど、働く世代の健康保険料負担を減らすというものです。多くの政党が消費税減税を掲げていましたが、それには反対し、社会保険料を引き下げることにより、現役世代の可処分所得を増やすことで差別化したものだと思います。その政党の幹部がネットの番組で、公約を実現する具体的方法について質問された際に、しどろもどろになった挙げ句、社会保障費を7兆円減らすと答えたことが話題になっています。社会保障費は、年金・医療費・介護費などに要する費用のことで、2025年度の総額は約140兆円です。その財源は、加入者からの社会保険料と税金が主なもので、税金は国の歳出の約1/3に達し、医療費には窓口負担も含まれます。つまりこの政党の幹部である候補者は、社会保険料と社会保障費と混同していることがバレてしまったのです。

 社会保険は、健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険・労災保険からなり、医療費では高齢者の窓口負担が増えると、健康保険からの負担が減るので保険料を引き下げることは可能です。具体的にどれくらいの負担軽減になるかは公約にはありませんが、他の政党のある候補者は、根拠は不明でしたが、一人年間6万円程度は可能としていました。個人的には高齢者だけでなく、生活保護者も窓口負担を3割にしてもよいと思いますが、それより優先すべきなのは、個人が特定できない保険証をなくして、1枚の保険証を複数の人が使い回せないようにすることと、外国人を国民健康保険から除外することです。前者はマイナ保険証を適切に運用し、後者は諸外国同様に外国人には民間の保険への加入を義務付ければ可能です。実際に国民健康保険料の未払い率は年々増加し、全体では10%前後ですが、外国人に限定すると37%に達しています。保険料収入が単純に10%増えるとすると約2400億円の増収になります。このようにまず、現行制度で徴収できるものを優先し、その上で窓口負担も増やすべきです。

 窓口負担を増やす以外にも社会保険料負担を軽減する方法はあります。それは「無駄な医療」をやめることです。これは医療費を削減するだけでなく、国民の健康にも資することになります。医療費は年々増加し来年度は50兆円を超えることは間違いないでしょう。医療費が増加する原因は高齢化と言われていますが、医療経済学の世界では「医学の進歩」が主なものと考えられています。新しい薬や診断技術は高額なことが多く、広く用いられると医療費は高騰しますが、それによって、どれほど国民が利益を得ているかが検証されていません。さらに、10歳の子供と90歳の高齢者に同じ医療を適応すべきかということも考えなければなりません。高齢者に運転免許の返納を強要するのは高齢者差別ですが、超高齢者に血液透析を導入できなくするのは差別だと思いません。回復不能となった認知症や脳卒中の患者に経管栄養を行うことも同様です。

 限られた医療資源をどのように優先順位をつけて分配するかは政治家の役割ですが、億単位の献金を医師会から受けている政治家にできるでしょうか。製薬会社から広告費を得ているメディアも、新しい医療を等しく国民にと美辞麗句を並べて事実を報道しません。別の政党も社会保険料負担の軽減を訴えていましたが、その所属議員の多くが、国民健康保険料の負担軽減のために、兼業をすることで格安の社会保険料を収めて保険料を節約していたことが選挙前に発覚しました。違法ではありませんが、恥ずべき脱法行為です。いっそこれを保険料負担を軽減する方法として国民に公約として掲げたらどうでしょう。何とも笑えない冗談です。


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