Vol.262 人口減少や少子高齢化は問題ですか?
少子化による人口減少と高齢者の増加は我が国が直面する最大の問題の一つと言われ、早急に抜本的な対策を取らなければと言われていますが、素人の私は疑問を持っています。明治維新以降約100年で我が国の人口は約4倍に増えましたが、2008年の1億2800万人をピークに減少に転じ、2050年には1億人を下回ると予想されています。急激に増加したのは、外国の侵略を防いで生き残らなければという危機感、その後の海外進出と経済発展による高揚感、長く経験しなかった他国との戦争という緊張感、敗戦の廃墟を経済復興で立ち直らせるという使命感などが、日本人の繁殖力を強めたのだと思います。
経済が発展し安定して平和が続けば、人口が減少するのは当然です。豊かになれば、教育だけを見ても、一人の子供に十分に手をかけて、質を高めようとします。私の両親は小学校しか出ていませんが、私を医者にしてくれました。愛情を注ぎ育ててくれたことには感謝しかありませんが、裕福でない家庭からも大学へ進学できたのは、日本経済が高度成長期だったからです。貧しい国では、子供は生活の糧を得る戦力です。本当に我が国が子供を増やしたいのであれば、最貧民国になることです。実際、合計特殊出生率を見ると25位まではすべてアフリカの国々です。韓国は世界最低で、経済成長するアジア諸国も高くありません。居住可能な国土面積あたりの人口を欧米先進国と比較しても、森林の面積が国土の2/3を占めている日本には、現代の人口は過剰と言えます。確かに急激な減少は様々な負荷がかかるので大変かもしれませんが、急増するよりは混乱は少ないはずで、遠からず減少速度も鈍化するのではないでしょうか。
「人口=国力」と言いますが、本当にそうでしょうか。確かに戦争では人口は多いほうが有利でしょう。現代においては、人口1億の国が百万の国を占領することはあっても、その逆はありません。だからこそ小国が大国に侵略されないためには、集団的安全保障などの対策が必要となるのです。人口増加の最大のリスクは、食料確保です。人口は指数関数的に増加することがありますが、同等の食料の増産は至難の業です。科学が発達した現代でも、水と二酸化炭素からブドウ糖を合成することは植物と光の力を借りるしかありません。
高齢化も経済発展と医療の進歩のおかげです。少ない若者が多くの高齢者を支えるのは大変だと言いますが、方法はあると思います。定義を変えると高齢者は劇的に減少します。詐欺のような話ですが、要は高齢者も昔とは違うということです。50年前と今の65歳を比べると全くの別物です。働ける高齢者は、立派な戦力として社会と繋がることができます。科学技術の進歩で力仕事は機械が助けてくれ、自動化が進めば必要な人手も減ります。高速道路で自動運転を導入することは現在の技術レベルでも可能で、人員不足による物流問題にも対応できるはずです。医療や介護の分野でも、人工知能による問診や介護ロボットの導入など、改善の余地はまだまだあります。私も高齢者の仲間入りをしましたが、仕事はこれまで通りです。今後はペースダウンするでしょうが、できることがあるうちは続けることがささやかな社会貢献だと思います。リタイヤして悠々自適の生活をすることに特に魅力も感じないだけでなく、逆に生命力が低下するような気がします。各人が、仕事であれ、ボランティアであれ、孫の子守であれ、自分が得意なことで社会とつながればよいと思います。国レベルでも、教育を充実させ科学技術を用い、単純労働力を安易に外国に求めず、自国のことは自国民でする、それが人口減少社会に向きあう原則です。
次回も少子化対策について素人の意見をお話しします。