新庄徳洲会病院

menu

<

掲載日付:2023.06.26

Vol.266 LGBT法案の子供への影響

 LGBT法案は予想通り可決されました。推進派は理念法だから実生活には何も影響はないと言います。確かに、国が基本計画を策定し、地方自治体や事業者は性的少数者の理解を増進するように努力するとされていますが、公共機関から小学校にまで変化が起こるはずです。実際、2年前にはすでに職員に対するガイドラインを作っている自治体があります。その中には、女性専用空間に入ってきた「身体は男性・心は女性」に抗議する人には、性自認を理解するように指導すると書かれています。つまり、わいせつ行為目的で女性専用空間に入ってきた自称女性の男を、排除できないだけでなく、理解しなさいとまで言われるのです。このようなガイドラインの作成には自治体の背後にいる大学などの高等教育機関にいる活動家が深く関与しているはずです。

 学校の性教育の現場はどうなるのでしょうか。5月17日付の朝日新聞の「天声人語」によると、中学2年の道徳の教科書の「公平・公正・社会正義」の項目は、「性のあり方は、男女の二つだけではなく、人の数だけあります。」から始まります。つまり日本には1億以上の性があるということです。別の中学3年生の教科書には、体の性、心の性、好きになる性、表現する性が丁寧に説明され、来春から使用される小学校の教科書でも「性の多様性」に触れたものが目立つそうです。既に現場では性的少数者への理解や性自認の容認を促進する活動が始まっています。

 米国で最も過激なLGBT活動が行われているカリフォルニア州では、先ごろ改正された法案(AB957)で、子供の性移行を肯定しない親は「虐待」と認定されます。幼少期から性自認を教えると、自分の性に疑問を持つ子供が増えるのは当然ですが、同地では20%以上を占めています。中には性転換手術を希望する子供もいますが、それを止めようとする親は虐待と認定され、親は子供から引き離され、子供は専用の避難施設に入ります。これは親子の分断ですが、その後には家族の崩壊が起こるでしょう。これはかつて共産主義革命が用いた手法です。中国の文化大革命やカンボジアのポルポト政権下では、子供が親を警察に告発し、逮捕された親が死刑になった例は少なくありません。独裁者が民衆を分断して統治するというのは歴史的事実です。

 未熟な子供を健全に成長させ、住みよい社会にするのが大人の役割です。ヒトは知能が発達したため本能が退化し、子作りや子育てにも愛情を必要とする生き物になってしまいました。身近な親や同胞などの家族から愛されることで、子供には愛する感情が湧きます。ヒトは群れでしか生きられないので社会性も必要です。家族に続いて家族以外の個体と接触して社会性を身に着けます。子供に愛情を注ぐのは母性であり、社会性を教えるのが父性です。ヒトの社会では、オスが母性を、メスが父性を担当することもある程度は可能です。片親が両方を担当するのは大変なので、共同体で支える必要もあります。だからこそ、基本の形は崩してはならないのです。私は本当にダメ親父ですが、両親から愛されました。多くない収入で私を医者にしてくれた父には世界中の誰より感謝していますが、匂いは嫌いでした。一方で、無条件に安心できる母の匂いは大好きで今でも覚えています。差別ではなく、生物学的な違いがオスとメスには厳然と存在します。

 幼少期に性は自認して選択するものと教えられると子供は混乱し、同姓同士の性交法を知ると性に嫌悪感を持つのが当たり前です。LGBTの次には同性婚の合法化運動が起こるのは、米国大使や閣僚経験のある議員が公言しているので間違いありません。同性婚の後には、子供がビジネスの対象商品になります。代理母出産にとどまらず、欧米では誘拐も増加しています。LGBT活動は差別禁止を謳いながら、国民を分断し共同体を破壊する「蟻の一穴」になると思います。


menu close

スマートフォン用メニュー