新庄徳洲会病院

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掲載日付:2022.06.01

Vol.248 単純なミス? 意図的な改竄?

 新型コロナに関する地上波のテレビニュースは偏りが強いと思いますが、地方局の中には公平な立場で報道しているところがあります。名古屋にある中部日本放送の大石邦彦氏の番組は、事実に基づいた分析をしているので注目していましたが、新型コロナの新規陽性者とワクチンの関係について興味深い話題を発信していました。週に一度の頻度で厚労省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが発表している数字をもとにして、ワクチンの感染予防効果が大きいことを強調し接種を勧めている閣僚経験者や県知事がいますが、その数字が突然修正されたというニュースです。名古屋大学の小島勢二名誉教授が、オミクロン変異後、世界的にはワクチンの効果が低下しているのに、我が国では相変わらず高いレベルを維持していることに疑問を感じ、厚労省に問い合わせたところ、捏造とも言える事実が発覚したのです。

 PCR検査の陽性者が出ると、医療機関からワクチンの接種歴が、ワクチンの種類と接種日と共に報告されます。その際に、接種したけれど接種日まではわからない人が相当数いるため、接種日未記入者が発生します。この接種日不明者を厚労省は未接種群に分類していました。その間は、未接種群の人口あたりの陽性者数は接種済群の2〜3倍になり、特に80歳以上では10倍以上になりました。ところがその事実が発覚後の4月11日以降のデータではこれを接種不明群に分類したため、未接種群の陽性者は半減し、接種済群との差が一気に縮まり、年代によっては逆転するという事態になったのです。数字を普通に見れば、80歳以上は数倍の差がありますが、その他は同等と言える数字です。しかも常識的には接種日不明の多くは接種済群に入る人が多いはずなので、接種済群はもっと増えてこの差はさらに小さくなると考えられます。

 ワクチンの効果を判定するのはそれほど簡単ではありません。接種日と陽性判明の間隔はもともと検討対象になっていないので、4月10日以前の結果からワクチンが有効であると結論するのは早計と思っていました。4月11日以降のデータを見てもワクチンは無効であると言いきるつもりはありませんが、ワクチンの有効性が高いとは言えず、これを根拠として若者にもワクチン接種を急がせるのは明らかに誤りです。首相は動画でしきりに早く射つことが大事と訴えています。私は、ワクチンはある程度有効だと思います。ただ、ワクチンの副作用の評価が不明確であり、新型コロナ自体の被害と新型コロナ対策の被害の大きさを比べると、子供や若者はもちろん、高齢者にも接種を勧める気にはなりません。私の両親は他界しましたが、後期高齢者を目前にした姉には止めたほうがよいと言いました。私もこれ以上は受けません。

 ワクチンが有効であると思わせようとするこのような恣意的とも思えるやり方は、国民を欺くものであり、結局は信頼を失うことになります。前内閣のワクチン担当大臣は、今回のことを単純なミスで、やはりワクチンは有効だと強調していますが、これをデータの捏造であると批判されたら彼はどう反論するのでしょうか。厚労省が信頼を得るためには、ホームページで分類が変更されたと小さな字で説明することではなく、何が間違いだったのかをきちんと説明し、そのためにどのような結果を招いたかを謝罪すべきです。もしこのようなことを民間の製薬会社がやっていたなら、彼らは厳しく糾弾された上で、製品は保険適応から除外され、社長は謝罪会見に追い込まれるのではないでしょうか。また、東京のキー局でこのことを取り上げるメディアがないということは、事実を国民に伝える媒介(メディア)としての機能が失われているということではないでしょうか。現行のワクチンはこのままでは、4億回分以上が破棄され、1兆円以上が無駄になりそうですが、授業料と思って破棄したほうがよいと思います。


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