新庄徳洲会病院

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掲載日付:2024.05.29

Vol.280 微力ながら宮沢先生を応援します

 京都大学医生物学研究所の宮沢孝幸准教授が5月15日に定年を5年残して退職されました。実質的にはコロナ騒動における言動への懲罰的な解雇で、研究室も閉鎖されました。彼の著書はほとんど読みましたが、見識の高さと同時に、日本と日本人への強い愛情を感じました。コロナ騒動で名を売った専門家には、「真理の追求」よりも地位と名誉と目先の金銭的利益を優先した人が少なくありませんでしたが、彼は愚直なまでに科学者であろうとした稀有な存在だと思います。騒動の初期には地上波のテレビ番組にも出演し、新型コロナが実態以上に恐れられ、過剰な対策があることを指摘していました。他の専門家やインフルエンサーからは「キワモノ」として揶揄されて感情的になることもあり、それを面白おかしく取り上げられ、人格を貶められることさえありました。ワクチンに対しても、「反ワクチン派」に分類されることが多かったのですが、彼は一貫して「ワクチン慎重派」でした。効果はあるだろうが、マイナス面の評価ができていないという立場です。このような異常とも言える負のレッテル貼りを受けてきたのです。

 新型コロナ発祥の地である中国の武漢には世界有数のウイルス研究所があり、欧米からの支援も行われており、特に米国からはウイルスの感染増強効果の研究に対して多額の補助金が出ていたことも明らかになっていました。その研究所で遺伝子操作によって新型コロナウイルスが作られ、故意か事故かは不明ですが、市中に漏れてしまったという「コロナウイルス人工説」は当初から一部で囁かれていました。彼はこの説に対しても当初は懐疑的でしたが、オミクロン変異が次々に起こり、遺伝子を詳細に調べた結果、極めて高い確率で新型コロナウイルスが人工的に作られたと考えられるという論文を発表しました。

 また、新型コロナによる死亡者は、毒性の強かったデルタ株以前よりも、オミクロン株のほうが重症者が少ないにも関わらず大幅に増えたことも問題視しています。この時期には医療の供給体制が逼迫したという事実もありません。新型コロナの関連死も増えましたが、これまでにない超過死亡の増加はそれだけでは説明できず、他の原因も異常に増加しています。これにワクチン接種が関わっている可能性を検討さえしない政府の体制にも疑問を呈しています。

 さらに、世界保健機関(WHO)が今後起こりうる世界的大流行(パンデミック)に備えて、パンデミック条約を締結して、WHOが主権国家である加盟国に対して、国以上の権限を持って対策(検査体制・行動制限やワクチンなどの予防体制・治療体制)をとる権限を持てるようにしていることにも強く反対しています。我が国の政府もこの条約には応じるようで、国会でろくでもない答弁を繰り返しています。マスコミもこの危険性を取り上げることがほとんどありません。この点にも彼は強く警鐘を鳴らしています。

 このような優秀で熱い心を持った科学者を正当に扱えないばかりか、不当に貶め専門家集団から追放してしまう国に未来はあるのでしょうか。本来は、彼のような人にこそコロナ騒動の総括をしてもらうべきです。京都大学は、東京大学とは異なる自由な校風で知られていたはずですが、異端の科学者を切り捨ててしまったのです。国立大学が独立行政法人化され、大学は真理の追求を行う学問の場から、利権を貪る集団に成り下がったのでしょうか。研究所が閉鎖され職を追われた彼は、今後、何らかの方法で研究を続ける意向を示しています。クラウドファンディングも始めるようです。私もささやかですが彼を応援するために、ニコニコ生放送の「宮沢孝幸チャンネル」に入会しました。月額550円です。みなさんも如何ですか?

掲載日付:2024.05.09

Vol.279 例の本を読んでみました

 以前のコラムでも取り上げましたが、出版中止になったアビゲイル・シュライアー著『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』が、「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」として産経新聞出版社から発刊されました。本文は300ページを超え、本体価格も2300円ですが、タイトルもよりわかりやすくなりました。産経新聞出版社に感謝しつつ、発売早々に購入して読んでみました。

 まず感じたのは比較的読みやすい日本語になっていることです。翻訳書には内容の難しさとは別に、翻訳過程で文章に違和感が生じやすくなります。私も1冊だけ研修医向けのマニュアルを翻訳しましたが、英文で理解できても、日本語表現がうまくいかず苦労しました。また、本書は複数の翻訳者が担当しているので、単語や文体が統一しにくい問題も生じたはずです。このような問題が解決できたのは、監訳者の岩波明氏が、専門分野も似通っているベテランの精神科医である事に加えて、翻訳者間の意思の疎通を十分にとった証でしょう。

 あるネット番組で聞いた話ですが、海外在住経験の長い日本人の女性学者が、東南アジアのアメリカンスクールに10歳くらいの娘さんを通わせていた際に、欧米の同級生のすべてがLGBTのどれかに属していると言い、「あなたは?」と尋ねられました。彼女は賢明にも「よくわからない」と答えたそうですが、少なくとも数年前には欧米の知識人の子女の間では、少女が少年に興味を示すことは「ダサい」と思われていたのです。その話には衝撃を受けましたが、本書の内容は予想以上に米国での「性自認」が社会に大きな影響を与えていることがわかります。多くのトランスジェンダーの少女とその家族、トランスジェンダーを推進する活動家やそれに迎合する教師や医療関係者、それに対抗する人たちに取材を重ねた末の力作と言えます。

 LGBTと言っても性自認の先進国では、同性愛はダサいもので、トランスジェンダーこそがかっこいいとされています。女性を好きな女性はレズビアンではなく、トランス男性であるということです。「青色が好きなあなたは本当は男なのよ」と女児に教えるということが現実に起こっています。このような現象が流行して少女たちに伝染した結果、これまで圧倒的に少なかった思春期の少女のトランス男性化が過去十数年で数十倍になりました。思春期には身心が不安定になりますが、特に女性は感受性が強いので周りで起こったことを自分の中に投影しやすく、そのためか投身自殺したアイドルの後を追い、太っていないのに神経性無食欲症になるのは圧倒的に女性です。この時期に自分の性別に違和感を持つのは珍しくないでしょうが、心身の不調のすべての原因を「性別違和」とする風潮がトランスジェンダーになりたい少女を造っているのです。

 本来、性別違和は症状なのですが、病名になってしまい、しかも予防や治療する精神疾患とは捉えずに、学校や医療従事者が無責任に患者の言う事を聞き入れ、思春期ブロッカーと呼ばれる女性ホルモンが働かなくなる薬や、男性ホルモンを安易に投与し、乳房を切断する手術にまで誘導しているのです。「性自認」の流行は、かつての「聖子ちゃんカット」や「ルーズソックス」とは次元が違うのです。教育者や医療従事者が、特定の政治的な意図を持つ活動家に扇動された患者の言いなりになることは論外です。我が国でも今後このような現象が起こる可能性はあると考えるべきです。未来ある若者に危険な「性自認」を推進するLGBT理解増進法を成立させた国会議員の先生方におかれましては、どれほどご理解が進んでいるかは存じせんが、高額な給料でも裏金からでも2530円を捻出してこの本を購入しご一読してくださいますようお願いします。

掲載日付:2024.04.16

Vol.278 紅麹からコレステロールについて考える

 小林製薬の機能性表示食品である「紅麹コレステヘルプ」による健康被害で死者が出たということで、消費者庁は使用中止を呼びかけ、会社は自主回収を行っています。今のところこの食品と健康被害の関連は不明で、「プベルル酸」が原因物質かどうかもわかりません。結論が出るには数ヶ月以上かかると考えられています。発売以来数年が経過して突然このようなことが起こったことを考えると、製造過程で何らかの物質が混入した可能性もありそうです。特定保健用食品(トクホ)が、有効性と安全性について国が審議し、消費者庁長官が許可を与えるのに対して、機能性表示食品は、有効性や安全性の根拠に関する情報を消費者庁に届けて、事業者の責任で機能性を表示すればよいので、かなりゆるいものと言えます。

 この食品は特に悪玉コレステロールを下げると宣伝しています。一般にコレステロールは低いほうがよいと思われていますが、人体の細胞やホルモンなどの原料となる必要不可欠な物質です。善玉と悪玉という分け方にも問題があります。コレステロールは食品から摂取するものと体内で合成されるものとあり、前者が増えると後者は減ってバランスを維持します。悪玉コレステロールの本名は、低濃度のリポタンパク質(LDL)によって、肝臓から全身に運ばれるLDLコレステロールのことです。これは体内で大事な働きをするのですが、増えすぎると輸送途中に血管内に溜まって動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことがあるので悪玉と呼ばれていますが、それは一部の過剰なLDLコレステロールなのです。それに対して善玉は、高濃度のリポタンパク質(HDL)によって過剰なコレステロールを全身から肝臓に戻すので、動脈硬化を防ぐ働きがあるためこのように呼ばれています。人間には善人と悪人がいますが、コレステロールに善悪はなく、誤解を招く表現です。健康診断で分類している国はほとんどないようです。

 健康診断でコレステロールが基準値を超えた人にはすべて、薬が必要というわけではではありません。そもそも基準値は健康な若者から算出されることが多く、高齢者に無条件に当てはめるべきではありません。日本動脈硬化学会では悪玉が140以上、善玉が40未満で脂質異常症と定義していますが、多くの医療機関では220以上になると病気に分類されます。確かに日本人で260以上の人は死亡率が高いという調査がありますが、その調査で死亡率が最も低いのは220〜259のグループです。また日本の別の調査では、心臓病による死亡率が高いのは、LDLコレステロールが男性で140以上のグループだけで、総死亡は全てのグループで差がありませんでした。さらにコレステロールが低いと脳卒中・心臓病・がんによる死亡が多いことが自治医科大学からの論文で指摘され、同様の報告は海外でも見られます。

 脂質異常症の治療薬として代表的な「スタチン」と呼ばれる薬は、1973年に遠藤章東京農工大学特別栄誉教授が青カビが作り出す物質が血液中のコレステロールを下げることを発見したことがきっかけで開発され、過去30年間で世界で最も使われたと言われています。米にカビを混ぜて発酵させた紅麹から作った食品にコレステロールを下げる働きがあっても当然かもしれません。検診でコレステロールが高いと言われた人が、医療機関にかかるのは面倒だし、健康食品を試そうという気持ちはわかります。そういう人をターゲットにした食品は他にも数多くあります。しかし、少なくとも日本人で本当にコレステロールを下げる薬を使ったほうが良い人は、実際よりもかなり少ないはずです。無駄な医療や無駄な健康食品が数多くあることは知ったほうがよいのですが、そのような無駄を省くという考え方が健康や命に関してはできないのが現状です。身体にいいものばかり摂っていると、身体を壊すことは少なくないのです。


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