新庄徳洲会病院

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掲載日付:2023.10.02

Vol.270 同時流行を心配しても…

 インフルエンザは、我が国では1月下旬から2月初旬をピークに減少し、夏にはほとんど患者が発生することはありませんでしたが、コロナ騒動以来ほとんど発生していません。今年は例年の1/4〜1/3と少ないものの同様のパターンで推移しましたが、夏が近づき猛暑を迎えても、患者が少ないながら続き、9月には早くも増加に転じ、学級閉鎖も報道されています。コロナも第9波を迎え、同時流行を警告する専門家も少なくありません。

 インフルエンザが夏にもなくならなかった原因は諸説あり、3年間も流行しなかったのでウイルスに対する免疫を持たない人が増えたと主張する一方で、過剰な清潔指向などの行き過ぎた感染対策や新しいワクチンを多くの人が使用したために免疫が低下しているという指摘もあります。また、これまで夏には行わなかった検査をするようになったからという意見もあります。インフルエンザの患者数はコロナを大幅に下回り、被害もそれほどでもない現状で大騒ぎする必要はないと思います。今の時期に流行すると、冬には免疫保有者が増えるので、感染があまり増えないかもしれません。また、インフルエンザが流行するということは、コロナが下火になる前兆かもしれません。現に直近の2週間では全国的にコロナの発生数は減少しており、第9波はピークアウトする可能性もあります。いずれにせよ、我々にできることはこれまでと変わらないのです。これまで色々な感染予防策が試みられましたが、有効で安全なものがあったでしょうか。人間が感染症を制御できると考えるのは傲慢で、どのように共存するかを模索すべきです。

 猛暑の中で屋外でもマスクを付けている人は珍しくなく、首都圏の主要駅周辺では半数程度はいたと思います。マスクの感染予防効果は限定的で、肉体や精神への悪影響が少なくないことは実感できたと思うのですが、それでもこれほどの人がマスクをつけています。病院でも原則は不要だと思います。難聴の高齢者は相手の口を見て言葉を読むことが少なくありません。マスクをしていると大きな声を出す必要があり飛沫は増えます。私は高齢者と話をするときにはマスクを外すことが少なくありません。感染が疑われる人に接するときにはつけたほうがよいでしょうが、それ以外は花粉症予防と冬の乾燥に対する保湿と防寒対策くらいにしか役に立たないと思います。喉や鼻のうがいも有効性は限定的ですが、害がないので私は実践しています。調子が悪いと思ったらおとなしく寝ていることです。身体を横にして水分と塩分とほどほどの栄養を摂ることを心がけます。特に初期は身体を冷やさないことが重要で、少し熱が出たからと言ってすぐに解熱剤を使わないようにします。発熱するほうが感染への防御力が発動しやすいのです。

 ワクチンについては難しいところですが、今のところ言えるのは、①コロナワクチンの感染予防効果は非常に限定的、②重症予防効果は1年くらいありそう、③副反応はこれまでの中では強く長期的には不明な点が多い、④インフルエンザワクチンもmRNAワクチンが作られ治験が進行しており来年には実用化される可能性がある、⑤インフルエンザとコロナの混合ワクチンも実用化される、といったところでしょう。日本はコロナワクチンの追加接種が世界でもトップクラスの多さで、無料化が終了しても年2回の接種が推奨されるのではないかと思います。しかし、重症予防効果が1年程度あるのなら年1回で十分ですし、コロナ感染した人はワクチンを接種するメリットが非常に少ないと思います。とにかくmRNAワクチンは免疫への影響が強いので、それが吉と出ることも凶と出ることもあるのです。副反応が十分に検討されておらず、データも公表されないものを、積極的に勧める政府やそれに盲従するメディアの姿勢には疑問を感じずにはいられません。インフルエンザにもこれまで用いてきた不活化ワクチンで十分だと思います。


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