新庄徳洲会病院

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掲載日付:2022.12.16

Vol.256 メディアの役割は?

 12月2日の河北新報(宮城県の地方紙)は、新型コロナウイルス感染者の発熱緩和や重症化の抑制に漢方薬が有効であるという研究結果を、東北大大学院医学系研究科の高山真特命教授(総合診療)らが発表したと報じていました。それは、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)を1日3回服用するグループと、症状に応じて解熱剤やせき止めを服用する通常治療のグループに分け経過を比べたこころ、発症後早期に漢方薬を使った患者は回復が早く、重症の呼吸不全になりにくかったというものでした。この記事を読んだときには、これから葛根湯が不足するのではと思いました。新型コロナに罹ったらまずアセトアミノフェンで解熱をと報道されて以降、医療現場ではこの薬が不足して困っています。私は風邪かなと思ったら多めに水分を摂り、葛根湯を飲んで早めに寝ます。外来でも総合感冒薬より葛根湯を処方します。葛根湯の解熱作用は強くありませんが、安全性は高く、新薬に比べるとはるかに安価です。大学のホームページでは11月28日に記者向けに発表していますが、調べた範囲では報道しているのは日本経済新聞だけで、発表から2週間経っても騒がれる様子はありません。

 一方、11月22日には国産初のコロナ治療薬であるゾコーバを厚生労働省が緊急承認したというニュースが大きく取り上げられました。6月にはすでに100万人分を政府は確保しており、承認は既定路線だったと考えられます。効果はコロナの罹病期間を1日程度短縮するというもので、抗インフルエンザ薬のタミフルと似ており、タミフル同様に劇的な効果はなさそうです。承認にあたっては、分科会のメンバーが製薬会社との利益相反が疑われるという指摘もあります。大手メディアの扱いの大きさは葛根湯とは雲泥の差で、否定的な見方も少ないようです。コロナ騒動初期のイベルメクチンに通じるものを感じます。

 メディアとは、人に情報を伝達する仕組みや事業や組織などを指します。近年の特に大手メディアの報道が偏向していると感じます。民放の番組がスポンサー企業に配慮するのは当然ですが、それでも電波という公共財を使用する以上、議論する問題には複数の意見を併記すべきです。いわんや公共放送であるNHKに偏向があるのは由々しき問題です。もちろん各々のメディアが独自の意見を持つのは自由ですが、事実と意見を混同して撒き散らすのは洗脳と言われても反論できないはずです。「コロナはそれほど怖い病気ではない」、「マスクの感染予防効果は限定的でデメリットもある」、「ワクチンの効果は強調され過ぎで、副反応は過小評価されている」などの意見は、ほとんど取り上げられることがありません。ワクチンに対して積極派と慎重派の専門家を招いて国会内で行われた勉強会も、大手メディアは無視しました。

 地方局には良心的な番組もありますが、メディアの偏向は東京のキー局ほど強いと思います。権力との距離に比例するのは、己を守るための自己規制でしょうか、それとも単に特定の主張を広めるために電波や紙面を利用しているのでしょうか。コロナ騒動以来、私は新聞記事を読む時間が減り、テレビはほとんど観なくなり、情報源はもっぱらインターネットになりました。ネットは玉石混交なので目利きが必要ですが、ネットにも偏向があります。例えばYou Tubeでは、コロナ騒動でWHO(世界保健機関)が怪しげな組織であることが明らかになったにもかかわらず、WHOの見解に反する主張は自動的に削除されます。また、日本人が大好きなツイッターも、イーロン・マスクが買収してから、ある種の政治的な意図で検閲が行われてきたことが明らかになりつつあります。報道機関や言論空間が「中立」を装いながら、特定の方向に世論を誘導するその先に待っているのは独裁的な管理社会です。


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