新庄徳洲会病院

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掲載日付:2023.07.20

Vol.267 これぞマッチポンプ!

 LGBT法案は、6月16日に国会で成立し23日には施行されましたが、21日にこの法案に消極的だった自民党の有志議員(自称保守派?)が、「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(通称・女性を守る議連)の設立総会を開きました。性的少数者への理解を増進させる法案成立に伴い、トランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)を自称する不届き者が、トイレや公衆浴場や更衣室などの女性専用スペースを利用するのではないかという不安を払拭するのが目的とのことです。設立趣意書には「安心安全を守る制度を確立して、女性と女子の『生存権』を確保しなければならない」と記され、法を整備することにより理解増進法についての女性たちの恐怖と不安を緩和することを目指すようです。

 この動きを受けるかのように6月23日には厚生労働省から「公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における男女の取扱いについて」という課長通達が各自治体に対して出されました。これによると、男女とは身体的な特徴をもって判断するものであり、浴場業及び旅館業の営業者は、 例えば、体は男性で心は女性の者が女湯に入らないようにする必要があるので、自治体は営業者に対して周知や指導するようにとあります。

 この通達によりトランス女性を自称する変態男が女湯に入ることは防ぐことができるという自民党の国会議員がいますが、本当でしょうか。そのような事態に業者が警察に連絡しても、警察は逮捕するか、逮捕しても検察は起訴するか、起訴しても裁判官は有罪判決を下すかというハードルがあります。警察官も検察官も裁判官も人間であり、世間の風潮を気にします。自分の行為がどのように話題になって評価を受けるかを考えないとは思えません。このハードルをすべて越えなければ、既成事実となってしまいます。さらに、逆に自称トランス女性が業者を名誉毀損で損害賠償を求めて民事訴訟した場合、面倒な裁判に対応しなければなりません。時間と労力と少なくない弁護士費用をかけてまでやってられないと考えるほうが普通で、業者は告発することに消極的になるのではないでしょうか。もし本気で女性を守る気があるのなら、少なくとも男女の区別の基準は最低限明記する必要があり、さらに具体的な事例を提示すべきでした。性自認を認めることになった以上、この法律に基づいた性別の主張がお墨付きとなったのです。だからこそ、もっともっと時間をかけて慎重に審議すべきでした。(その上で廃案とすべきでしたが…)

 そもそも不必要な法案を強引に成立させ、その後に私たちは女性の安全を守るために努力していますという姿勢を見せた議員は、放火犯を手助けしておいて、燃え上がったら一生懸命消火しているのをアピールするようで、まさにマッチポンプの典型です。と思っていたら7月11日には最高裁で、経済産業省に勤めるトランス女性の職員が、職場の女性用トイレの使用を制限されているのは不当だとして国を訴えた裁判で、制限を認めた国の対応は違法だとする判決が出ました。あくまでもこの事例についての判断であり、一般化するものではないとされていますが、裁判官は補足の意見書で、一般職員は研修によってLGBTに対する理解を深めるべきだとも述べており、時流の影響を受けたことは明らかです。そもそもこの判決が、不届き者の行動を正当化する拠り所にならないと考えるほうが異常です。今後、官公庁はもとより一般企業でも性自認によるトイレの使用についての対応が大きな関心事となり、女子トイレを廃止して男女共用トイレを作る動きが進むでしょう。すでに都内の公園では女子トイレがないところが60%を占めているようです。さらには学校現場でも性教育がより過激になり、子供に性自認で悩みを持つように仕向けるでしょう。この判決もLGBT法案も大きな転換点になりそうです。


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