新庄徳洲会病院

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掲載日付:2026.05.15

Vol.312 あちゃ~ 脳梗塞になってしも〜た!

 4月20日、起床時から右の瞼が腫れぼったく、頭も重い感じでしたが、特にひどくなかったので、そのまま病棟回診に向かいました。朝の会議後に外来を始めましたが、身体が重く少しふらついているようで、やたら咳払いをしたくなりました。患者さんが途切れたので、医局に戻ってお茶を飲んだところ、人生初と思えるほどひどくむせてしまい、お茶を吐き出した後、犬が吠えるような咳が止まらなくなりました。異変に気づいた友人の内科医H先生がかけつけてくれ、ただごとではないと救急外来へ移動しました。初めは喉の異常かと思いましたが、他の症状から脳の病気を疑い、生まれて初めてCTを撮りました。特に問題なかったのですが、念のために撮ったMRIでは延髄の右外側に小さな脳梗塞が疑われました。延髄外側の梗塞はワレンベルグ症候群と呼ばれ、40年以上前に受けた医師国家試験でも勉強した憶えがありました。顔面は同側の、首から下は反対側の温痛覚障害を起こします。確かに左手に点滴をしたときに、アルコール綿の冷たさや針を刺した痛みを感じませんでした。声がかすれ、飲み込みが悪くなり、同側の上瞼が少し下がるなど症状もあり、診断は間違いなさそうです。椎骨動脈の動脈硬化や解離が原因のことが多いのですが、解離ははっきりしないので、入院して抗血小板療法を開始しました。

 一過性の虚血ではという期待も虚しく、その後も症状が進行するため、H先生の判断で、翌朝には当院より医療スタッフや設備が整っている山形県立中央病院へ転院することになりました。自分の病院でよいのではとも思いましたが、こういうときには、医者であることを忘れて患者になりきるのが大事と考えて、21日の昼前に救急搬送されました。診断は同様でしたが、MRIで前日よりも梗塞巣が大きくなっているとのこと。確かに感覚障害は悪化し、唾液も全く飲み込めません。点滴が変更され、薬の内服と栄養補給のために、経鼻胃管(鼻から胃に入る細長いチューブ)を入れられました。ベッド上安静で、点滴は24時間継続、排泄もベッドでする生活です。チューブ挿入時の痛みは予想通りでしたが、その後の不快感は許容範囲で、眠れないほどではありませんでした。すぐに死ぬ状態ではないので、病気を味わうしかないと思いました。

 翌日は症状も横ばいで、唾液と痰を出し続け、血圧も200を超えることがありましたが、ベッド上でリハビリも始まりました。23日には状態が落ち着いていたので、座った姿勢で飲み込むリハビリ、その後には歩行練習も始まりました。かすれ声も徐々に以前の美声?に近づき、唾液を飲み込むことができるようになり、むせることも減りました、24日には耳鼻科で、鼻の穴から内視鏡を入れた状態で、水を飲めるかを見るための嚥下内視鏡を受けましたが、なかなかつらい検査でした。その結果ゼリーを試すことになり、久しぶりに味のあるものを食べました。26日は休日にも関わらず主治医のK先生が来てくださり、翌日にもう一度嚥下機能をチェックして問題なければゼリー食を始めることになりました。その後は順調に経過し、27日には経鼻胃管が抜けて、心電図モニターと点滴も終了し、病棟内を歩いても前日よりもふらつかない感じで、夕方には1週間ぶりにシャワーも浴びることができました。28日にはリハビリも本格化し、リハビリの療法士の先生方も優しく熱心に指導してくれたお陰で、少しずつ身体もしっかりしてきました。体重が5Kg減ったので、食事もしっかり摂るように調整してもらいました。大型連休はリハビリが休みになるので、自分の病院なら休日も可能なので戻れるかをK先生に相談したところ、経過もよいので退院可となり、30日の午後に新庄に戻ることができました。中途半端に医学知識がある扱いづらい患者でしたが、県立中央病院の皆さんには感謝の気持ちしかありません。本当にありがとうございました。幸い軽症で済んだのは、神様がお前はもう少し生きて社会の役に立てとおっしゃっているでしょう。これからは、新庄で社会復帰に向けたリハビリが始まります。


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