新庄徳洲会病院

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掲載日付:2013.12.30

Vol.101 混乱の年から試練の年へ、その向こうに希望が

 平成25年は徳洲会グループにとって混乱の年でした。選挙違反容疑で逮捕者を出し、さらに複数の政治家への献金疑惑も取り沙汰されています。我々も家宅捜索や取り調べを受けました。病院長として責任を痛感し、深くお詫びするとともに今後は一切の組織的政治活動と決別することを約束します。

 医療に果たしてきた徳洲会の役割は小さくなかったと思いますが、政治に関しては負の遺産があります。私は、徳洲会の幹部や徳田家に対して事実の開示と説明を求め、批判的な意見も述べました。徳田虎雄氏のファンには、私の言動は不愉快であったでしょう。しかし、これからも徳洲会グループが社会貢献を続けられるかは、負の遺産を精算することを避けては通れないのです。平成26年は徳洲会の転換点となります。大きな試練が待ち受けていると思いますが、患者さんにとって、地域の皆さんにとって、そして職員にとってよい病院であることを目標に奮闘する所存です。

院長 笹壁弘嗣
新徳新聞第63号 平成25年12月30日(月) 掲載

掲載日付:2013.12.30

Vol.100 全国三役会議が行われました

 12月22日に都内で徳洲会グループの病院長・看護部長・事務長会議が行われました。9月と11月に中止された経営戦略セミナーに代わるもので、選挙違反事件以来初めての全国レベルの集まりでした。通常は参加するはずの取引銀行グループは、不参加でした。

 話し合われた内容は以下の4点にまとめられます。

1 公選法違反について
 ・司法判断が出るまでは一切コメントしない(司法判断が出たらコメントを出す?)

2 MS法人について
 ・MS法人と医療法人は完全に別組織になった
 ・徳田虎雄氏が社長を続けるのはやむなし(というより当然?)
 ・徳田家親族が社員として残ることは、医療法人側としてはどうしようもない
 ・第三者委員会の評価によって取引の透明性を保つ(利益率を5-10%に是正する?)

3 僻地離島医療について
 ・これまで以上に病院間の応援をお願いする

4 徳洲会グループの社会への意見表明について
 ・マスコミは徳洲会を悪者と決めており、モラルもないので、全く信用出来ない
 ・今は何を言っても悪意を持って伝えられるので、記者会見などの予定もない


その上で私の感想です。

1 公選法違反について
 鈴木理事長は公選法違反について意見を述べることは、捜査妨害になりかねないと言いますが、組織の長としてどのように考えているのかさえも述べられない理由が私にはわかりません。スターン美千代被告のコメントにさえ触れられなかったのは大変残念でした。

2 MS法人について
 徳洲新聞では事件後も一貫して徳田虎雄氏が傑出した人物であったことを強調してきましたが、そのような態度は、少なくとも徳洲会以外の人の共感を得られるものではありません。過去に偉大な業績があっても、現在彼が徳洲会という組織にもたらしている不利益を考えるべきだと思います。
 虎雄氏は早急に社長を退任すべきです。医療法人として直接それができなくても、MS法人の唯一の顧客として圧力は掛けるべきです。つまり、医療法人側が取引を停止すれば全てのMS法人は存在し得ないのだから、正当な圧力はかけるべきではないかということです。このことはその場で発言しましたが、回答はありませんでした。
 唯一今までより突っ込んだ発言として、株式会社徳洲会の利益率を5-10%にするという具体的な数字が出たことは評価に値します。

3 僻地離島医療について
 「生命だけは平等だ」という理念を、実際に派遣される医師たちに押し付けても、モチベーションは上がりません。徳洲会は理念に共鳴して集まった組織ではなく、徳洲会で働く人々に理念を共感してもらえるようにしなければならないはずです。そのためには今回の選挙違反事件は全て非を認めるべきです。目的が正しければ、手段はどのようなものでも正当化されるという考え方は、理念への共鳴を妨げるのではないでしょうか。
 確かに僻地離島医療は危機に瀕していますが、都市部の病院も容易ならざる事態になっています。ある病院では来年度末に退職を希望する看護職員がこれまでの2倍以上出ているそうです。それに見合う新入職は望めません。いろいろな病院が大変な事態に直面しているのです。
 これまでのようなやり方は通用しません。以前から述べているように、徳洲会グループの大型化に歯止めをかけなければならないのではないでしょうか。とりあえず新規の病院建設を見直すなどの根本的な方針転換をすべきと考えます。
 また、医師以外の職員の待遇面の改善も不可欠です。それができなければ、当院の看護職員の離職も続くと思います。

4 徳洲会グループとしての意見表明
 どれだけ叩かれようが逃げずに話をしていると少なくとも何分の一かは伝わるはずです。都知事を辞職した猪瀬氏の会見の映像を通して最も強く伝わったことは、話した中身ではなく、嘘をついているということです。真摯な対応を続けていると、嘘はついていないということはいずれ伝わるはずです。美千代容疑者以外は誰も心のこもった言葉を発信していません。毅代議士に至っては、未だに雲隠れの状態です。そのような我々にモラルを語る資格はあるのでしょうか。
 世論が正しいのではないという鈴木理事長の発言はそのとおりですが、だから世論を無視してよいというものではありません。もし徳洲会が株式会社なら株価は暴落して、株主から執行部は総退陣を迫られたでしょう。


 以上いろいろと書きましたが、徳洲会は変わらなければならないということは、鈴木理事長も述べているとおりです。問題はどのように変わるかです。それは、社会から受け入れられる形で、理念を維持するということだと思います。本来徳洲会が政治活動を行うのは、本業である医療活動を広めるための手段だったはずです。ところが、組織が肥大化するにつれて、医療活動が政治活動の手段になってしまったのではないでしょうか。毅氏に派閥を作らせ、自民党総裁を目指すということが最優先の目的になっていなかったかという問いに、虎雄氏はどのように答えるのでしょう。毅氏が総理になるという目的が正しければ、やはり手段は間違っていてもよいと言うのでしょうか。

 失ったものの大きさを、我々は深刻に受け止めなければならないと思います。

院長 笹壁弘嗣
平成25年12月30日(月)

掲載日付:2013.12.15

Vol.99 かぜに抗生物質は効きますか?

 かぜをひいたら早めに薬をのむが大事と思っている人が多いのですが、いわゆるかぜ薬は、症状を和らげるもので、早く治す効果はありません。かぜもインフルエンザも感染性腸炎も、原則として自然に治るので、薬は使わないという選択もあります。症状を抑えて、無理しても仕事を続けなければならない状況はあるでしょうが、休養に勝るのもはありません。

 先進国ではかぜに抗生物質を使うことがありますが、我が国はかなり高頻度に、しかも高価な新しい薬が用いられます。かぜの原因はほとんどがウイルスです。抗生物質は細菌の増殖を抑えますが、ウイルスには効きません。抗生物質を使うのは、かぜに引き続く細菌感染を予防するためで、1万人に1人くらいは肺炎を予防するという報告があります。気管支炎や肺炎は、かぜと区別がつかないこともあり、特に高齢者では危険なことがあるので、念のため処方される事が多いのでしょう。医療機関にかかる最大の意味は、症状がよくならない時にかぜ以外の深刻な病気でないかを調べることなのです。

 日常的に用いられている抗生物質のコストは、一連の治療で千~二千円くらいです。自己負担分はこの3割程度ですが、医療費全体を考えると、年間では億単位になるでしょう。それ以外にも問題があります。一つは副作用、もう一つは耐性菌の増加です。

 副作用の多くは下痢や腹痛などの軽微なものですが、アレルギーやけいれんのように重症化すると命にかかわるものもあります。また、致死的な不整脈が1万人に1人の確率で起こる薬もあります。

 耐性菌とは抗生物質が効きにくい細菌のことで、抗生物質を使うほど日常的に見られるようになります。念のために抗生物質使っていると、本当に必要なときに治らない病気が増えるのです。さらに、小さな子供に使うと喘息などのアレルギー疾患が増えるという報告もあります。これは腸内細菌が変化することが関係しているのではないかと考えられています。

 抗生物質の副作用である下痢を抑えるために併用する乳酸菌製剤には、かぜの予防効果があります。乳酸菌製剤は値段も安く、1日当たり30~40円くらいです。かぜをひいてかぜ薬や抗生物質を使うより、早めの乳酸菌製剤の方がよいかもしれません。でも安い薬なので、制作費が割に合わないから、「よかったね、早めの乳酸菌製剤!」というコマーシャルは作られないでしょう。

院長 笹壁弘嗣
新庄朝日 第731号 平成25年12月15日(日) 掲載

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