新庄徳洲会病院

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掲載日付:2009.07.15

Vol.38 コラーゲンは食べても塗ってもお肌は若返りません!

 健康食品やサプリメントのコマーシャルや広告が氾濫しているのは、相当の売り上げがあるからでしょう。毎月数千円から1万数千円程度の少し無理をしたら出せる値段に設定されているように思います。本当に有効なのでしょうか。コラーゲンを例に考えてみましょう。

 コラーゲンは細胞と細胞の間のクッションの役割を果たす重要なタンパク質で、お肌の張りはコラーゲンが支えていると言えます。皮膚の老化は、コラーゲンの減少や劣化が原因の1つと考えられています。したがって、コラーゲンを補うとお肌を若く保つことができるというのが売り手の主張です。

 本当に、食べてり塗ったりしたコラーゲンは、身体の中でコラーゲンになるのでしょうか。身体はたくさんのタンパク質によって支えられていますが、動植物のタンパク質がそのまま吸収されると、アレルギーや炎症などのトラブルを引き起こします。そのため、消化酸素によってアミノ酸に分解して、小腸から吸収するようになっています。コラーゲンからできるアミノ酸はありふれたもので、全身に散らばってタンパク質合成の材料になります。

 もともとコラーゲンだったアミノ酸だから、身体の中に入ってもコラーゲンになるかというと、残念ながら全く関係ありません。食べたコラーゲンの大部分はコラーゲンにはならないのです。分解して吸収しやすくした低分子コラーゲンも同様です。

 皮膚に直接塗ったコラーゲンはどうでしょうか。タンパク質は皮膚から直接吸収されないので、塗ってもコラーゲンの補充にはなりません。「この化粧品を塗るとお肌がスベスベよ」とおっしゃるかもしれませんが、それはコラーゲンが吸収されるからではなく、コラーゲンやその他の物質の保湿効果によるのです。

 同様に、関節が痛いからといって軟膏の構成材であるコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸を摂っても、口から入ったものがそのまま身体の一部に取って代わることはありえません。

 人間の身体は、2万数千種類のタンパク質から構成されていますが、部品を集めても細胞1つ作ることはできません。身体の調子が悪いのは何か重要な栄養素が不足しているせいだという強迫観念にとらわれるのは、健康幻想と言えます。若さや健康ばかり追求するより、避けることのできない老いや病や死をどう受け入れるかを考えるほうが人生を豊かにすると思うのですが。

参考図書

福岡伸一著 『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』 木楽舎, 2009年

院長 笹壁弘嗣
新庄朝日 第625号 平成21年7月15日 掲載

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